サピア・ウォーフの仮説を知らないと難解映画『メッセージ』は絶対に理解出来ない

{79E97FA8-46B1-4A69-9800-D5F829570F9B}

突如世界各地に謎の飛行物体が現れ、世界一の言語学者のルイーズ・バンクス、理論物理学者イアン・ドネリーらが”彼ら”との交信を試み、その目的を探る。

 
予告編はこちら↓

サピア=ウォーフの仮説(Sapir-Whorf hypothesis)というのを聞いたことはありますか?
言語学者のエドワード・サピアとベンジャミン・リー・ウォーフは言語が思考に与える影響について研究していました。そして彼らはこのような仮説を立てました。
{0F54B706-9251-43C7-A456-ABA0BD3DD83D}

『人が思考する上で用いる言語が違えば、認識する世界像が変わる。すなわちその認識や思考は言葉に依存しているのである。』という仮説です。

あくまで仮説なので正しい、正しくないは僕からは言えないんですがちょっと思い当たる節もあります。というのもハーフである僕は日常的に英語脳と日本語脳の切り替えを行なっています。
例えば洋書や洋画を観るときは英語脳、和書や邦画を観るときは日本語脳、というように思考言語を使い分けて行動することが多々あります。
特に話す時が最も顕著だと思いますが、思考言語を変えると僕は少し性格が変わると自分でも感じます。
言語にはリズムがあり、そのリズムに乗りながら話そうとすると若干ですが‥行動選択が変わったり自身の性格が変わることがあると経験上感じています。
僕の場合だと日本語だと割とおちゃらけた感じでギャグを言いますが、英語だとクールな感じでユーモアを伝えていく感じに少し変わると思います。
{6F17937C-2400-4ED4-8F2F-544814DC1CA4}
さて今回の映画『メッセージ』ではこの仮説がひとつのテーマになります。
地球外からの訪問者に対して交信を試みるわけですから当然我々の言語を何とかして彼らに伝え、彼らの言語を理解する必要があります。
そもそもそれが言語学者であるルイーズ・バンクスが呼ばれた理由であり、彼女は彼らの言語を分かろうと奮闘します。
そして幾度のコンタクトの末、彼女は次第に彼らの言語を理解し始めます‥
先の仮説を思い出しましょう。
『言語は思考、認識を支配する』というものでしたね。
英語に切り替えて思考が少し変わったというのは分かります。
しかし彼女は地球外からの訪問者である”彼らの言語”を学んでしまったわけです。
どんな世界が見えるのか、あなたに想像できますか?
{982368F3-F5EE-4A9B-BAEA-BCCA9A8CB4C5}
この作品はテッド・チャンの短編小説『あなたの人生の物語』を基にドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務めた超SF大作です。
有名なことにドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品は無駄なシーンが一切ないんです。
そのため『メッセージ』は引き算を極めた映画と言えるので、場面や状況の説明が殆どされず、観客自身が自分で考えなければ理解できないシーンが作品中に数多くありました。
予め言っておくと、難解な小説や映画が苦手な人は一切面白さが分からないかもしれません。
実際難しくてよく分からなかった、という感想も上映後チラホラ聞きました。
確かに難解な部分はありますが、最後のシーンできちっと全てが繋がったときは鳥肌ものです。それに作品が与えるリアリティ、音楽の重厚さ、どれをとっても一級品です。

1 個のコメント

  • この映画と原作は本当に色々なことを奥深く想像させる、何かを働きかける力が大きいですね。映画.comの中でカミツレさんというレビュアーの方とあれこれ語ってしまいました。
    今リバイバル上映されている『2001年宇宙の旅』を観た直後だと、モノリスで人類を木星に導いた生命体(私の解釈では、星間ネットワーク、つまり、銀河系をひとつの脳として獲得した姿・形を持たない意識の主体。従って銀河系に遍く存在する神のようなもの、ということになります。自信はありませんが)はヘプタポッドBを発達させた究極の進化の形態に見えてきました。
    電子回路がネットワーク化し?意識を獲得したHALは、生命体の進化がいずれ宇宙規模の意識を獲得することに繋がることを示唆しており、ヘプタポッドBはその進化の過程のようにも思えてきます。

  • 琥珀 にコメントする コメントをキャンセル

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です