【エイリアンコヴェナント考察】賛否両論が起こる原因の解明

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エイリアンコヴェナント

 
本作は米国で既に5月19日に公開されており、僕が9月にアメリカに帰省していた頃にはなんととっくにDVDになっていた。DVDで手軽く観てしまうか、日本の映画館で観るべきか多分に迷ったけどリドリー・スコット監督の最新作というわけだし映画館で観ることに決めたのが今作『エイリアン コヴェナント』だ。ちなみにジャンルはコメディSFホラー映画だ(‘ω’)
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今作の監督リドリーおじさん。完璧主義者で有名で、ベイおじさんやスピルバーグおじさんとはまた毛色が違う。

 
マイケル・ベイやスピルバーグといった他の大物監督とは違い、リドリーが作る映画はハズレがない(失礼)。
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『おいおいおい〜〜ちょっとまった、マイケル・ベイの作品で売れなかった作品なんかあったかいきみぃ??』
と思ったそこの中尾彬。売れなかったから皆知らないんだよ。ベイおじさんのクローンに関するSFを描いた『アイランド』なんていう映画は興行収入3580万ドルの大コケを見事記録。普段ベイおじさんは2億以上の興行収入をお茶の子さいさいで取ってしまうから大コケと言っても間違いではないだろう。ちょっとした豆知識をプレゼントすると、さらに日本人が知らないであろう『ペイン&ゲイン』ていう作品もある。この映画はそんなに大コケしたっていうわけではなかったがベイ作品初となる日本でDVD化をスルーした作品となった。しかし僕は『アイランド』も『ペイン&ゲイン』も大好きだ。

いつもならこの変でリドリー監督の面白話でもする予定だがこの監督、あんまり面白い話を聞いたことがないのがちょっと残念だ。というのも几帳面な性格らしくキッチリした人なのでベイおじさんらに比べてそういった話が挙がってこないのだろう。だから得意のベイおじさんの話で内容を埋めたってのは内緒だ。
しかし米国のリドリー監督に関する番組を観ていたら『エイリアン』の製作秘話に関する少し面白い話が聞けた。当初『エイリアン』においてリドリーが描いていたラストは実際に公開されたものとは大きく異なっていた。なんと彼が構想していたラストでは主人公であるリプリーは殺されるはずだったのだ。
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“I thought that the alien should come in, and Ripley harpoons it and it makes no difference, so it slams through her mask and rips her head off,”(Polygon)

 
「僕が構想していたラストではエイリアンが突然出てきてリプリーはモリで突き刺そうとするんだが効かず、最後エイリアンにヘルメットごと突き破られ頭を削ぎ落とされてしまうんだ」彼は続け、「そしてエイリアンが『I’m signing off』と言って終わるんだ」
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『エイリアン』のリドリー。最近は映画に出てくる宇宙服の形状も変わってきたね

ゾッとするエンディングやなほんま(突然の関西弁)。なぜなら『I’m signing off』というセリフは本来ダラス船長のセリフで『放送終了』という意味を持つからだ。このエンディングだったら続編はなかっただろうが、最高のラストなのになんでこうしなかったんだろうと思っていた矢先しっかりとオチが付いていた。
「その後FOXの重役達に『そんなエンディングにしたらお前はクビだ!』って言われてね、今のエンディングに変えたんだw」

リドリー・スコット監督が自身の傑作SF「エイリアン」の前日譚を描いた「プロメテウス」の続編。新たな主人公となる女性ダニエルズを、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」で注目されたキャサリン・ウォーターストンが演じ、「プロメテウス」でアンドロイドのデヴィッド役を演じたマイケル・ファスベンダーが続投。前作に続いてスコット監督がメガホンをとった。滅びゆく地球から脱出し、人類移住計画を託された宇宙船コヴェナント号には、カップルで構成された乗組員が搭乗していた。やがて人類の新たな楽園となるであろう未知の惑星にたどり着いたコヴェナント号だったが、そこには想像を絶する脅威が存在していた。その恐怖を目の当たりにした乗組員たちは、命からがら星からの脱出を試みるのだが……。
 
68点 点数つけるならね
 
 
 
《まずツッコミたい”完璧な生命体”という言葉》
さて‥船長のオラムが生みの親となって生まれたゼノモーフというエイリアンが今回の目玉で、まあみんなこいつ↓に喰われたわけだ。つまりオラムは事実上のエイリアンのお母さんだ
 
 
 
 
 
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あぁ‥しまった間違えた。これはフリーザの第三形態だ。色以外の特徴が一致しすぎてるので間違えてしまうのは僕のせいじゃない。それに皆感じたであろうエイリアンの既視感の正体は間違いなくフリーザだ。

さて戻ると、

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よだれダラダラでも”完璧な生命体”なんだね

今まで人には喋ったことがなかったが、ひとつ言わせてもらうと僕はあんまりエイリアンの造形が好きじゃない。あくまで感覚的な感情なので説明が出来るわけじゃないがもっぱらプレデター派なのだ。なので少々煽らせていただくと今回のゼノモーフというエイリアンは4本足で気持ち悪く動き回り帽子が被れないほどに頭が長い。それに長い尻尾もついている。つまりこいつは尻尾があるからチノパンも履けない。帽子もチノパンも着れないよだれダラダラ星人を僕は”完璧な生命体”とは呼びたくない。終盤は終始デイビッドがゼノモーフ達エイリアンのことを”完璧な生命体”と言っていたのにイライラが募っていて隣の人のポップコーンにコーラを注ぎ込むところだった(陰湿)。
しかしエイリアンがなんとなく好きになれないのは僕が潜在的にエイリアンに恐怖を感じているからなのかもしれない。そういう意味でいえばリドリーが創り出したエイリアンは少なくとも僕にとっては成功だったのであろう。しかし死ぬほど偉そうに書いてしまった。気持ちい。
とりあえず言いたいことが言えたのでいい加減本編の話を進めよう。
 
 
《”コヴェナント”の真の意味》
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そもそもCovenant(コヴェナント)は”約束、契約”という意味で『明日渋谷に7時ね!コヴェナントだよ〜』とは言わない。Covenantという言葉が持つ”約束”の意味はもっと宗教的なものであり、聖書を英語で読めば目にする事が多いだろう言葉だ。The Land Of Covenantと言えば”約束の地”の意味だし、やはりキリスト教、ユダヤ教における神との”約束(契約)”という意味合いが強い。

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今作のテーマはそれこそ”Covenant”であった。デイビッドが事実上の新たな”創造神”となり人間に取って代わる存在としてエイリアンを創り上げたわけで、この姿勢は前作『プロメテウス』から一貫している。元を辿れば高度なアンドロイドであるデイビッドを創ったのは人間のショウ博士であったし、さらにそれら人間を創り上げたのはエンジニア‥という設定であった。今作ではその流れを引き継ぎ、今度は最終的にウォルターが新たな”神”として新たな存在を創造してゆくことになり聖書はその都度生まれ変わったというわけだ。
そして「コヴェナント」は今作では宇宙船の名前として登場する。2000人あまりもの乗客を乗せた宇宙船が向かうのは新しい惑星、すなわち”約束の地”だから宇宙船の名前をコヴェナント号としたのだろう。当然宇宙を渡るのは長い旅になるので乗客達は人工冬眠をし、命を預け、目的地に連れて行ってもらうわけだから目的地に着くことが”約束”されていないと困るわけである。結果としてその約束が果たされることはなかったが。

いつしか『エイリアン』は壮大なテーマを持つようになった。もうただのコメディホラーSF映画ではなく、”創造”というテーマに深く切り込んだ作品となったのだ。『エイリアン コヴェナント』というタイトルが意味するところはこんなところだがこのタイトルに決定する前は『エイリアン 失楽園』にする案もあったらしい。『失楽園』という言葉は聞いたことがあるかもしれない。17世紀のミルトンという詩人が書いた叙事詩なのだがそれを知らなくてもきっと内容は知っているはずだ。どういうものかというと蛇にそそのかされアダムとイヴが禁断の果実を食べてしまいエデンの園を神に追い出されてしまうというものだ。その『失楽園』のひとつのテーマは”創造主と創造された者らの対立”だ。どうだろう?まさに今作にピッタシのタイトルではないか!
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”失楽園”をイメージしたポスター。かっこいい。
ファスベンダーの演技の上手さ+設定の甘さ=??》
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今作を観終わった後非常に微妙な気分になった。単純に失楽園的な壮大なテーマが気に入った僕はこの作品は好きだ!と言えるが、偉そうにもこの作品を”評価”するとなるとどうだろう?

『エイリアン コヴェナント』にははっきり言って筆舌に尽くしがたい程に酷いシーンがいくつかあった。宇宙系のSF映画にはきちんとした科学構想をしっかり持って欲しいと思っている僕にとって乗組員が全員馬鹿というのはいただけなかった。空気組成が地球と似ているからって即宇宙服を脱ぐのはいくらなんでもありえないだろ。『未確認の感染症とかあるかもしんないけど別にいいか(´∀`)』じゃねーよ、どう考えてもおかしいだろ。そんな感じで洞窟に突入して見事エイリアンに寄生されてるわけだからちょっと台本に書いてあるからヘルメット脱ごうというご都合主義には流石に付き合えない。ていうかそもそもなんで進路を変えたんだ?『なんか良さそうな星から行こう。計画パーだけど別にいいか(´∀`)』じゃねーだろ、船長頭逝ってんだろ。
挙げればキリがないがここらへんの設定の甘さが今作で最も受け入れられないところだった。アウトレイジでは全員悪人だったがエイリアンコヴェナントでは全員馬鹿という凄まじいパーティだ。
 
 
 
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かような致命傷のような傷が多くあるにも関わらずマイケル・ファスベンダーの演技が飛び抜けているのだ。脚本が悪いだけで他の俳優達も無論上手いのだが、ファスベンダーが要求された演技レベルは非常に高いものであったけれどそれを彼は完璧にやってのけた。分からない人が多いだろうと承知の上で言うと漫画『ガラスの仮面』でいうマヤが演じた石の微笑の人形役に近い。全くの感情が無いアンドロイドを演じるわけでもないし、人間のように演じることもいけない。アンドロイドであるウォルターにも”個”が発現してゆく複雑な過程を演じなければならないし、加えてデイビットとの違いも明確に、かつ似ているところも見せつつ‥‥というように少し演技を間違えれば作品全体を破壊することになるような難易度の高い演技をこなすファスベンダーに対する評価はもはや恐れ多くて出来ないレベルだ。人間が演じていることを忘れてしまう、最高の演技であった。それに脚本がまずいとは言ったがあのダークなオチは最高だった。

さてまとめると今作には2つの評価ポイントがあった。

①設定の甘さ(人間が皆アホ)
 
②ファスベンダーの演技の上手さ
この映画を観たとき①に大きく評価を振るとかなり駄作として捉える人が多くなるだろう。逆に②を重視すれば100点に近い映画ともいえる。ゆえに人それぞれでだいぶ意見、感想が異なる映画だろうと分析できるし友人や他映画ブログを見ていても実際にそう感じる。僕は②に大きく振って名作と言いたいところだが①のミスは看過できるものではなかった。
さてあなたならこの映画、どう捉えますか?
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2 件のコメント

  • ちなみにSFでしかもホラー要素のある映画で登場人物がアホがほとんど居ない作品を教えて頂けたら嬉しいです

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