『ゲット・アウト』を100%理解するのに必要な5つの前知識!アメリカ文化の予習をしておこう。

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ゲットアウト

公開前に予告編をチラッと見た感じでは、おしゃれスリラーならぬおしゃれホラー系かなと想像していたわけで、蓋を開けてみればイメージとしてはコーエン兄弟の「ファーゴ」のホラーバージョンみたいな感じ。なにぶんホラー要素が強く推されているので、友人に「ゲット・アウト良かったから観に行きな」と言っても「ゾンビ出てくるでしょ。ホラー無理なんだよ!」と言われてしまう始末。出ない。この時期にゾンビが出てくるのは渋谷で十分なわけで、あくまでspookyでちょっと知的なお洒落ホラーなだけだからあまり”怖い”とは思わないようなタイプの映画だ。元々コメディ始まりの映画だってこともあって本作にはブラックコメディ的な要素もあり、人種問題をベースにした(舞台は南部)お洒落ホラー(スリラーかな?)×ブラックコメディというかなりのちゃんちゃんこ状態でありながらキチンとまとまっているわけだからこりゃえらいことだ。
 
 
それにバリー・シールの時も思ったけど最近ケイレブ・ランドリー・ジョーンズがなにかとキモい役が多いんじゃないかなと笑
 
【先を知っておけば本作が100倍楽しくなる】
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彼女の目が完全にイってますね

 
予告編を観れば分かるとは思うけど、時間が経つほど謎が解けていって最後に”真実が分かる”みたいなタイプの映画なわけだ。謎のまま終わらせたら全米クソ映画大賞を贈呈するところだった。だから前半がそれなりに重要なわけですよ。後になってあ〜!あのシーンはそういうことだったのかなるほどねと膝を打ちたいでしょう普通は。でもあまりにボーと観ていたらせっかくの大量の伏線を処理出来なくなっちゃうのでどのシーンに注目して観ればいいのかを予め知っておけばスッキリ観終わることが出来る。というわけで前半のシーンを少し整理していくが当然後半のシーンのネタバレはしない。流石に後半のシーンのネタバレは陰湿すぎるので嫌いな奴にやるのはオススメだ。
シーン① クリスと彼女との会話
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冒頭、黒人のクリスとそのガールフレンドの白人のローズがローズの実家に泊まりがけで初めてローズの家族に会いに行くところ、車に乗っている間にかかる音楽がspooky(2回目)で最高でね、スワヒリ語らしいので頑張って聞き取ってみてくれ(無茶振り)。Sticky Pizzaと言ってるようにしか聞こえないという声もあるので試してみて欲しい。


ちなみにこの曲。初めて聞くのは劇場がいい。
出発前、クリスが不安に思っていることがよくわかるシーンがあって、
クリスのアパートに来たローズが、支度をしているクリスに話しかける。
Rose: Have you got your toothbrush? (歯磨き持った?)
Chris: Check.
Rose: Do you have your computer? (パソコンは持った?)
Chris: Check.
Rose: Do you have your cozy clothes? (部屋着は持った?)
クリスがチェック、チェック言ってるが要は持ち物リストやTo do リストなんかについている四角い枠にレ点を打つニュアンスで言ってるわけで持ったよってことですな。洒落た返事でしょ。
cozy clothesというのは直訳すれば「くつろげる服」になるがこの質問にはクリスはすぐcheckとは言わずに「About that‥」と返す。「それなんだけどね‥」とクリスの不安そうなセリフだが一体何が不安なんだろうか。
米国の中でもリベラルなカリフォルニアなら黒人、白人、ヒスパニック、アジア系、どんな組み合わせのカップルも珍しいものではないが今作の舞台は南部の方なわけで未だに人種差別が強く残っているところだ。そんな南部の白人ばかりの家庭にお邪魔することになった黒人のクリスの立場を考えると不安になるのもわけはないのだ。ガールフレンドの家に行くだけでも普通不安なのにね。
シーン② 車で実家に向かう
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実家に向かう途中、警官から嫌な対応を受けるのだが、運転していたローズが免許証を見せたのに、助手席に乗っているだけのクリスにも身分証を見せるように言う警官。黒人というだけで身分証を提示させることは良くあることなのだ。
クリスは慣れているのと、下手に逆らって騒ぎを起こしたくないのとで、穏やかに言われた通りに従おうするが、ローズは警官の要請をピシャっとはねつける。my men(私の男)は私が守るわ。と言うローズ。アメリカ女性の見習うべきこういった強いところは惚れ惚れしてしまうよね。でもねこのシーン何気ないのだがかなりの尺が取られていることからも分かるが実は重要なシーンだ。物語の中盤になって何を暗喩していたのかが分かり、終盤になってこのシーンの全ての行動の意味が分かるようになる。
 
今作を観終わった後にこのシーンのことをもう一度考えてみよう。きっと鳥肌が立つだろう。
シーン③ 実家に到着
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アイスティーを飲んでいることから南部だってことが分かるんだ。頭良いね。

 
無事に実家に到着したクリスら。クリスの緊張は高まるが、ドアを開けて出てきたローズの家族は温かく迎えてくれる。クリスの不安は杞憂だったみたいだ。だがクリスにはひとつどうしても気になることがあった。それは白人の家族に黒人の使用人達、典型的な南部の富裕層家庭の中、黒人であるクリスにとってはどうしたって居心地が悪いのだ。しかし彼女の家族だからと居心地の悪さを押し殺しどうにかやり過ごそうと思うクリスを見ると自然にこっちはがんばれクリスと思ってしまう。
さてここらのシーンから上手いこと”違和感”を感じ取るには少しばかりアメリカの文化を知っておかなければならない。ストーリーにどう関わっていくかについては言及しないのでネタバレになることは心配しなくていい。
④フィストバンプ(Fist bump)
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拳と拳を突き合わせるあいさつのことをフィストバンプというがいわゆる若者のあいさつってやつだ。若者同士やアフリカン・アメリカン同士なら握手よりも自然で良く行われることなので相手がグーを差し出してきたらグーで返してやろう。パーを出して「はい、じゃんけん俺の勝ちね」とか僕がやるようなことは決してやってはいけない。
⑤黒人英語(African American Vernacular English)
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通称AAVEと呼ばれる黒人達が使う特徴的な英語のことで、エボニクス(ebonics)とも呼ばれるが差別用語だとも言われてるのでこの言葉は使わない方がいいだろう。

白人ばかりのガールフレンドの実家に行って受け入れてもらえるのか不安なクリスは、同じ黒人の友人でTSA(アメリカ合衆国国土安全保障省のこと。空港警備や検査やってる人たち。TSAロックはこのTSAに認証されたロックだね。)に勤めてるロッドに電話して相談したりするのだが、このロッドがラッパーみたいな小気味よい黒人英語を話し、笑いを取るのだ。
このAAVEという英語はいわゆる標準的な英語と大分文法が異なったり発音が違ったりしているが、実際聞いてみれば明らかに違うことは分かるはずだ。このロッドと電話で話す時は、クリスの喋り方も変わることに注目して欲しい。普段は標準的な英語を使うクリスもロッドと話すときは若者な感じで話すのだ。クリスの英語の語調がいつ変わるのかよく注目して聞くようにして欲しい。クリスが相手との期待している関係性がそれで良く分かる。
【しかし最高の”違和感”はここにある】
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個人的にどうしても違和感が拭えなかったのはローズのタイプでね、クリスが惚れこむほどの女の子とはどうしても思えない。別に可愛くないわけではないのだが黒人男性にモテるようなタイプではないし、さっぱりとしたボーイッシュな性格というか仕草というか、喋り方というか、クリスとあまりお似合いのカップルっぽく見えなかったのが気になってしまった。いやいやそれが恋ってやつなんじゃない!って思うかもしれないが本作をちゃんと観てくれれば僕の言っていることの本意が分かるはずだ。
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核心に迫るネタバレを回避しながらの解説はここまでにしよう。次は「ゲット・アウト」が見事に回収した伏線の数々を説明していきたい。
そう、その前に是非劇場で今作を観て欲しいのだ。
それでは‥
See Ya!

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