最後のたった1ページのために「戦国自衛隊」を読もう。SF小説No.2 半村良「戦国自衛隊」

大河ドラマの「仁」や「バックトゥザフューチャー」といったタイムスリップ系が堪らないという人は「戦国自衛隊」で求めてるそのカタルシスを解放させたい。

思うにタイムスリップ系が堪らなく好きな人達というのはかなりの数隠れていると疑っているけれど、心の中にその感情を押し殺している人が多いんじゃないだろうか。「なんかタイムスリップって子供っぽいし‥大々的に好きとは言えない‥」なんて思ってるそこのあなた‥「戦国自衛隊」読もうZE☆?

 

1979年に実写化もされた「戦国自衛隊」は伊庭義明 三等陸尉役を千葉真一が演じ、これまた原作を読んでる側からすると結構ピッタリなのだ。今もう一度焼き直しで実写化すればさらにリアルになって臨場感溢れる戦国を描けると思うので是非ともリメイクを期待したいところだがとりあえずそれは置いておいて、作者の半村良の話を少ししよう。

半村良は1963年に第2回SFマガジンコンテストに入選した「収穫」の発表の後、少しの沈黙期間があって70年代の「赤い酒場を訪れたまえ」を皮切りに数々のSF作品を世に送り出した。

川反千秋の解説によると後に半村良は自身の沈黙期をこれからどのような作品を出すかの見極めに使ったと言ったらしく、その後の彼の著作の完成度を物語っている。

1974年に発表された「戦国自衛隊」は今ではもう古典的名作として扱われているが(よく考えたら40年以上も前なので当たり前)、その名の通り自衛隊が戦国時代にタイムスリップするというシンプルなSF作品である。

日本海側で大演習を展開していた自衛隊を、突如“時震”が襲った。突風が渦を巻きあげた瞬間、彼らの姿は跡形もなく消えてしまったのだ。伊庭三尉を中心とする一団は、いつの間にか群雄が割拠する戦国時代にタイムスリップし、そこでのちに上杉謙信となる武将とめぐり逢う。“歴史”は、哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を携えた彼らに、何をさせるつもりなのか。

やはりタイムスリップを題材にした作品と言えば、未来の科学技術を過去の時代に持っていき、その技術を披露するとまるで魔法だ!と猿のように驚く人々の反応を楽しむことが出来るというのがひとつの魅力と言いたい。「仁ーJINー」だって南方先生が神がかった手術を行うとまわりの人達が「なん‥だと‥?」のような反応をするのがこれが堪らない。

なぜか自分まで気持ちよくなってしまうのだが、これはきっとタイムスリップものが好きな人はきっと分かるはずだ。

勿論、「戦国自衛隊」にはそのようなお約束のシーンがみっちり入っている。というよりそういったお約束と呼ばれるものはこの「戦国自衛隊」を原点にして作られたものなのだ。

BUT!「戦国自衛隊」の最大の魅力はこんなところではない。僕が初めて「戦国自衛隊」を読んだのが中学生の頃で、母に執拗に勧められて読んだ覚えがある。

もう本当にしつこかったので仕方なく読んだんだけど、母の言うように「戦国自衛隊」には大どんでん返しが用意されていた。それも超弩級の。

「戦国自衛隊」は最後の1ページに作品全てが詰め込まれている。最後の1ページの辿り着くまでの道中は先に説明したタイムスリップのカタルシスを楽しんだり、スピーディーに進むプロットを追いかけたりと忙しいだろう。気がついたら残りは1ページで、楽しかったと思うのも束の間、あなたは作品全てのページに隠されていた一貫性を完全に理解する。

半村良の「戦国自衛隊」は有名な作品なので何を今更と思われた方もいるかもしれない。誰が読むんだこんなのと思うようなニッチなSF本はいずれ紹介していくとして、今回は高校生や大学生と言った今作を知らない若い世代に向けて「戦国自衛隊」を紹介したつもりだ。

たった1ページから受ける感動のために本を一冊読んでみるのもまたロックってやつだ。

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